2020.09.16

ADHDとマスク着用について、医師が解説します。

新型コロナウイルスの感染予防として推奨されているマスクの着用。もちろん、予防の観点からすべての方が着けることが推奨されますが、なかには着けることが難しい方もいらっしゃいます。

今回はそんなマスク着用が難しいとされるADHDの方に焦点を当てて考えていきます。

ADHDとは?

ADHDとは、注意欠如・多動症のことをいい、発達障害の概念のひとつです。前頭葉や線条体と呼ばれる部位のドーパミンという物質の機能障害が原因であり、脳の中で目的を達成するために計画を立てて行動する「実行機能」と、報酬系と呼ばれる「待つことをつかさどる脳の機能」が弱いと考えられていますが、その詳細は不明で、遺伝的な要因も強いと考えられています。5%程の子どもがADHDと診断されており、その比率は男児の方が女児よりも3~5倍ほど高いとしています

ADHDの症状は、アメリカ精神医学会(APA)のDSM-によると、以下の症状にすべて該当し、この状態が約6ヶ月以上続いている場合のことを言います。

ADHDは虐待を受けている子供や身体に疾患がある子、不安定な子育て環境の子でも同じような症状が出ることがあり、その区別は医師でも難しく、専門性の高い医師の診察が必要となることもあります。

また、近年はADHDの病名が知れ渡ったことでより早い段階で発見できるようになり、医学的な治療や状態を改善するための介入が行われています。ですが、今の大人たちの時代にはまだ認知されていなかった病気のため、子どもの頃に治療や介入をされた大人が少なく、変わった子、親のしつけが不十分と捉えられてしまっていました。現在、大人でも3~4%の方がADHDであることが考えられています。

大人の場合、うっかりミスやケアレスミス、遅刻が多い、すぐにかっとなる等感情のコントロールができない、その場にじっとできず後先考えずに行動してしまうという症状がある方にADHDの可能性があるとしています。

ADHDの人はマスクをつけるのが難しい?

全ての方に当てはまるというわけではないのですが、ADHDをはじめとする発達障害の方の中には感覚が過敏な方もいらっしゃいます。そのため、口にあたるマスクの触り心地が不快に感じる、ヒトより敏感に感じ取ってしまうためにマスクが付けられないという方もいらっしゃいます。また、一時はつけられたとしても長時間マスクをつけ続けることは難しいという方もいらっしゃいます。

さらに、嗅覚が過敏な方ではマスクのにおいを感じてつけることができないという場合もあるとされています。

マスクをつけられない場合、新型コロナウイルス対策はどうすれば良い?

マスクをつけたくない、つけることができないというADHDの人はどうやってコロナウイルスを予防・他の方への感染拡大防止をしていけばよいのでしょうか。その方法として考えられるのは3つあります。

まず1つは、自分が付けられそうなマスクを探すということです。ADHDによる触覚過敏の方はマスクだけでなく洋服でも着られないものもあります。例えばタグの位置を変えたり、ボタンをなくしたり、自分が不快に思うものを排除することで服が着られるようになることもあります。それと同じように例えば不織布のマスクが不快であれば布マスクを試したり、ガーゼマスクを試したり透明のプラスチックマスクを試したりと自分が不快にならずに装着できるマスクがあるかを探してみましょう。また、マスクではありませんがフェイスシールドであれば装着できるということもあるかもしれません。自分の不快を理解して、そのうえで自分に使えそうなアイテムを探してみるとよいでしょう。

2つ目は、長時間マスクをつける環境に行かないということです。触覚過敏の方や嗅覚過敏のある方であっても、なかには短時間であればマスクが着用できるという方もいらっしゃいます。ですので、そういった方であれば短時間、少しずつマスクを装着するようにし、長い時間マスクを装着しなければならない環境にはいかないことをおすすめします。

3つ目は、人混みを避けることです。どうしてもマスクが付けられないのであればやはり感染予防を考慮して人混みを避けることが必要となります。ですが、近年はマスクを装着していなければ入店できないお店も増えてきていますし、マスクをつけずに公共交通機関を利用すると人の目も気になってしまうかもしれません。ADHDでマスクをつけることが難しいという説明を受け入れてもらえないこともあるかもしれません。そのため不要不急の外出を避け、マスクをしなくても外出できる場所を選んでみましょう。また、マスクをされていない分、より手洗いうがいを励行していきましょう。

公開日:9月16日

監修:クリニックフォアグループ医師

参考文献

厚生労働省

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-003.html#:~:text=ADHD%EF%BC%88%E6%B3%A8%E6%84%8F%E6%AC%A0%E5%A6%82%E3%83%BB%E5%A4%9A%E5%8B%95%E7%97%87%EF%BC%89%E3%81%AF%E3%80%81%E3%80%8C%E4%B8%8D%E6%B3%A8%E6%84%8F,%E3%81%8C%E8%A9%A6%E3%81%BF%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

滋賀医科大学 http://www.shiga-med.ac.jp/~hqpeddev/pg12.html

国立障害者リハビリテーションセンター

http://www.rehab.go.jp/ddis/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8/?action=common_download_main&upload_id=5622

NCNP病院 https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease07.html