新型コロナと喫煙の関係性について、医師が解説します。
皆さんは新型コロナの重症化しやすい人の特徴が何か、ご存知ですか?
今現在は高齢者や、特に糖尿病・呼吸器疾患のような既往症をお持ちの方では新型コロナに感染した場合の重症化するリスクが高いことがわかっています。
では、喫煙と新型コロナにはどういった関係性があるのか、あまり知らない方も多いと思うので詳しく解説していきたいと思います。

新型コロナと喫煙には関係があるの?
ではまず新型コロナと喫煙には関係があるのかどうかについて説明します。
今現在わかっていることには、喫煙者は非喫煙者に比べて新型コロナ感染時に人工呼吸器を装着する必要があるようになる、あるいは死亡してしまう危険性が3倍以上になると言われています。
このことからも重症化するリスクを上げていることはわかりますが、その他の重症化リスクと言われている高齢・糖尿病や高血圧などの基礎疾患などのようなものと比較しても最大のリスクであるとの報告もあります。

さらに、喫煙により重症化のリスクが上がるだけではなく、喫煙により新型コロナへの感染リスクも上がると言われています。
このように新型コロナと喫煙は切ってもきれない関係がありますが、以下ではどうしてそのように喫煙により新型コロナへの感染リスクが上がったり、重症化リスクが上がるのかについて説明していきます。
どうして喫煙していると新型コロナへの感染リスクが上がるの?
まず、喫煙による新型コロナへの感染リスクが上がる一因としては、喫煙所の環境になります。
喫煙所は、煙を外に出さないという目的のために喫煙者が集まるので、「密閉・密集・密接」の三密の典型的な場所だと言えます。喫煙者はそのような喫煙所に数分間、あるいは十数分間居座ることになるため、そこで感染するリスクは高いでしょう。
次に、喫煙時には口元を汚い手で何度も触れるために、体内にウイルスが入りやすくもなります。

他には、喫煙により喉の粘膜が荒れてしまったり、その他免疫機能の低下も起こるため、感染リスクは上がります。
どうして喫煙していると新型コロナ感染時の重症化リスクが上がるの?
まず、喫煙による重症化リスク上昇の一因としては、感染リスクが上がることが挙げられます。
感染リスクが上がるということは体内に入るウイルスの量が増えやすいということを意味し、重症化の原因の一つとして体内に入るウイルスの量があるため、感染リスクが上がることがすなわち重症化リスクが上がることを意味します。
次に、少し専門的な話になりますが、喫煙により新型コロナウイルスが体内に入るときに用いる受容体の数が、気道において増えてしまうことも挙げられます。この受容体は子供では少ないため、子供の重症化リスクが低い一因としてもこの受容体は考えられています。
以上のように、喫煙は新型コロナウイルス感染症に対して感染リスクも重症化リスクも上げてしまいますし、肺癌などの他の健康被害の原因にもなります。
この機会に禁煙をお考えの方はぜひ禁煙外来にいらしてください。自分だけで頑張るよりも楽に、高確率に禁煙を成功させることができるでしょう。
監修:クリニックフォアグループ医師
公開日:12月30日
参考文献
(COVID-19) |新型コロナウイルス感染症とタバコについて|一般社団法人 日本呼吸器学会 https://www.jrs.or.jp/modules/covid19/index.php?content_id=9
タバコを吸っていると新型コロナウイルス肺炎が重症化します。|2020年6月|中野区医師会 https://www.nakano-med.or.jp/topics/2020/06.php
新型コロナ:やはり「タバコ」がヤバかった(石田雅彦)|YAHOO!JAPANニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20201205-00211089/