どんな病気?
心不全というのは良く聞くことがあると思いますが、簡単にいうと、全身をめぐる血液循環が何らかの原因で悪くなる状態のことを言います。原因はさまざまで、心臓、腎臓、肺、肝臓、高血圧、ホルモン、貧血(赤血球の減少)、低栄養、感染症等、本当に様々です。
中でも、心臓が原因で心不全がおきる場合として多いのは、心筋梗塞(上記参照)、心臓弁膜症、心筋症です。心臓弁膜症とは、心臓の中にある逆流防止弁が何らかの原因で不具合が生じる病気です。
本来一方向性に流れる血液が、心臓の中で一部逆流するようになることで血液循環が停滞しやすくなります。心筋症とは、心臓は筋肉の塊でできていますが、その筋肉組織に一部もしくは全体に変性(正常の細胞ではなくなってしまう変化)が生じる病気です。正常の細胞でなくなってしまうことで、心臓がポンプとして力強い働きができなくなってしまい、血液循環が停滞しやすくなります。
どんな症状?
循環血液量が増えるタイプの心不全では、典型的には、足がむくむようになった後、平地歩行でも息切れがでるようになり、最終的には横になると息苦しくて眠れなくなり、救急車を要請!となります。
循環血漿量が増えないタイプの心不全では、過度なストレスで血圧が急上昇したり、不整脈や心筋梗塞に合併しておきたり、といった血液循環が突然停滞するようなことをきっかけに起きることがあります。(両方の病態が混在することも多いです。)
どんな検査・治療を行いますか?
心電図、採血検査、レントゲン、心エコー検査(経食道エコー検査も含む)、心臓MRI検査、心臓カテーテル検査を行います。これらの検査で、心臓の状態、構造的な評価を行います。
治療は、内服治療が基本ですが、心臓弁膜症に関しては構造的な不具合が原因なことが多いので、最終的には手術が必要となります。その場合は、開胸手術により壊れた弁膜を修復する治療が基本ですが、最近ではカテーテルによりより低侵襲でこれらの手術をうけることができます。大動脈弁、僧帽弁については、現時点では非常に限られた施設ではありますが、今後さらに発展していく分野だと期待しています。
また重症な心不全では、心臓両室ペーシング治療、補助人工心臓、心臓移植などの治療があります。
軽症な場合は、クリニックレベルでもフォローアップが可能ですが、重症な場合は、一度大きな病院での綿密な病態評価と厳格な治療方針を立てる必要があります。